氷河くんのポーカーフェイスを崩したい。
 好きだよ。

 ハマっちゃったよ。

 でも、

「にわかだよ、わたし」

 そんな熱い想いを持つ選手に、わたしが、なにをできる?

「マイナーペナルティは。何分退場?」
「たしか。……2分」
「氷上にでる選手の数は」
「6」
「ベンチ入りできる人数は」
「22人。そのうちゴーリーが2人」
「一試合は20分単位。それが何ピリオドある?」
「第3ピリオドだよね。前半と後半じゃなくて、3回戦ある」

 わたしの答えを聞いた成澤の口角が、上がる。

「なに。……え、間違ってた?」

 その不敵な笑みは、なんだよ。

「決着しなかったら、どうなるか知ってる?」
「そこまで調べてなかった!」
「やっぱり。勉強したんだねえ」
「……あ」

 そうか。

 今の問題、最初のふたつは、昨日成澤から教わったことで。

 最後のふたつは――

「そういうところだよ。エリナちゃん」

 ほくそ笑む、成澤。

「だからこそ君が欲しいなと思う」
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