氷河くんのポーカーフェイスを崩したい。
 男子なんて連れて帰ってみろ。

 めちゃくちゃビックリされる、絶対。

「なら、当麻の家に行けば? それはそれで、ドキドキものでしょ」
「ムリムリ。わたしを呼ぶわけない」
「そこはほら。アイスホッケーの試合のビデオが見たいとか、アイスホッケーの雑誌や漫画買ってるなら読んでみたいとかなんとか言えば。すんなりあげてくれるかもしれないし」

 ……天才現る。

「いけるかも」

 純粋に見てみたい。

 アイスホッケー関連の動画や本は。

「でしょ?」
「って、だから、二人で勉強する意味がわからない」
「苦手を克服しあうのがいいよ。……あ、私そろそろ帰らなきゃ」

 沙里はテスト期間だというのにバイトを入れているらしい。

 そういえば当麻氷河もバイトしてるっぽいこと言ってたな。

「わたしも帰る」

 沙里と教室を出ようとした、そのとき。

「纐纈さん」
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