氷河くんのポーカーフェイスを崩したい。
【お前がどこで誰を弄ぼうが俺には関係がない。痛い目にあっても自業自得だな】
こんなときにアイツの言葉を思い出すなんて、最低すぎる。
わたしが井上と、こんなことになったって言ったら。
そのときは少しくらい、あのかたい表情も崩れるんだろうか。
「そうか。焦らしてるんだな」
また、嘲笑う?
「俺を楽しませてくれてるんだな?」
「黙れヘンタイ!」
わたしがそう叫んだとき、
――ガチャ
突然、準備室のドアが、開いた。
「な……なんだ。お前か」
焦る井上。
「どうした? 急ぎの提出物は。なかったと思うが――」
「丸見えですよ」
扉の向こうからやってきたのは、
「それとも。そういう趣味っすか」
アイツだった。