あなたの隣にいてもいいですか
・・・・・大雅君が無言のまま車を走らせていると

「茉実ちゃんって、牧田と付き合ってたの?」

「ううん。付き合ってないよ。なんで?」

「さっき、ヒロキ君が『牧田のツレ』って言ってたから」

「まあ、確かに研修中は牧田さんのツレだったからね。ヒロキくん、私の名前も知らないんじゃないかな?飲み会で何度か一緒になったしとか、パチンコ行ったりもしたけど、本当に全くと言っていいほどしゃべったことなかったから。だから今日会ったとき、一応『山崎です』って名乗ったんだけどね。今日も一回も名前呼ばれなかったよ。」

「じゃあ、付き合ってはなかったの?」

「うん。大雅君、牧田さん知ってるの?」

「うん。わかるよ、●●高校で〇〇大学でしょ?今のチームに入ってるのも、もちろん知ってたよ。茉実ちゃんと同じ会社に入ってたことは知らなかったけど。もちろん向こうは俺のこと知らないと思うけどね。
今日、ヒロキくんと会ったとき、ヒロキくんとはそんな関係じゃないだろうなってすぐにわかったけど牧田のツレって言われても否定しないし、今日の試合中もずっと牧田から目を離さないし、絶対付き合ってたんだと思ってた。」

仲は良かったし、一緒にいることは多かったけど牧田さんにとって、私はたぶん、恋愛対象外だ。あの頃は特に会社生活、サッカー生活がどうなるのかで精一杯だっただろうし、プロになった今は尚更だ。

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