あなたの隣にいてもいいですか
「きっかけはそうだったけど俺も色々考えたんだよ。この先、俺もりえもお互い側にいることが本当に幸せになれるのかわからないなって。
俺は、正直りえのことがずっと重荷だった。だけど、俺がそう思うのは筋違いで、俺が二股とか不誠実なことをしてるせいだって思ってたから、受け止めようとしてたんだ。実際、彼女と別れてからしばらくの間は、りえも落ち着いてて楽しく過ごせてたんだ。
だけど、すぐにまた色々なことが気になり始めて例えば、サッカー仲間と一緒にいるとき、過去のことを匂わすような出来事だったり、ほかの連中の彼女や奥さんとりえの知らない話をしたりすると、極端に嫌がったり。

それに、あんなに仲の良かった絢ともすっかり疎遠になっちゃってさ。自分で言うのもあれだけど、絢って、多分俺のこと好きだったんだよ。楽しいことがあったりすると、いつも電話かかってきて、俺に話してきたり、 嫌こととかあると、甘えてきたりするんだ。それに気づいてるのかどうなのか、急に絢のことけん制して実はずっと前から両想いだった、って言ったりしてさ」

りえちゃんの気持ちはわからなくない。私だって、最初にスノボで絢ちゃんに会ったとき、一瞬で大雅君への恋心は悟ったのだ。りえちゃんだって気付いていたのだろう。私が最初に探りを入れたときは、わかっていながらはぐらかしていたんだ。私が変な気遣いをしないように大人の対応をしたのだろう。

大雅君は今話していることは割と些細な事だと思うし、女心としてはあるあるだ。しかし、そんなことも許せなくなるほど、りえちゃんに愛情がなくなってしまったということだろうか。

「それが段々エスカレートしてきて、茉実ちゃんのことも警戒するようになったんだ。」

「私?私なんかした? 大雅君と二人で会ったりしたことだって無かったよね? 約束して会うのなんて、今日が初めてくらいじゃない?」

「そうなんだけど。茉実ちゃんのことは俺が悪いんだけどさ。航生さんと付き合っているときも、早く別れちゃえとか茉実ちゃんが夜遅くなる時も、つい心配でりえとまだいるときにメールしてたりしたからさ。」

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