あなたの隣にいてもいいですか
確かに航生さんと別れてからは、大雅君が急に過保護になった。しかし、りえちゃんに対する態度と私へのそれじゃ、明らかに違ったはずだ。客観的に見れば容易にわかることでも、当事者だと不安なのかもしれない。

「まあ、これらのことって、付き合ってれば多かれ少なかれある話なんだと思うから、原因ってことじゃないんだけどね。
やっぱり親から言われたことで考えちゃってさ。りえのやってる行動って、俺は当事者だから、俺への愛情が故にのことだと理解してたんだけど、客観的にみれば一般的な大人のやることではないよなっていうのは、改めて感じたんだ。

この前は姉貴を例に出して言ったけど、前の彼女がりえみたいな行動をするかって言ったら、想像もできないし実際、りえと同じくらいかそれ以上傷つけてしまったけどりえみたいに取り乱したりはしなかったしさ。
それに、もし仮にそれが茉実ちゃんだったらって置き換えて考えても茉実ちゃんだってそんなこと絶対にしないってわかるよ。まあ、酒が全く飲めないっていうのもあるけどりえの行動だって、酒が入ってたからとかそういう問題じゃないんだよな」

大雅君はこの一か月の間、色々と考えて結論を出したことが伝わってきた。しかし、りえちゃんはどうなのか、りえちゃんと話す機会があるのか気になるがこればかりはしょうがない。

「だけど、会社でもずっと会うでしょ?平気なの?」

「わからないけど、平気にするしかないよね」

「大雅君はどうするの?前の彼女とより戻すの?」

「まさか!そんなことできるわけないじゃん、するわけない。」

「俺さ、りえのこと無条件に好きだったんだ。彼女がいようが、りえに彼氏がいようが色々なことなんてどうでもよくなるくらい、りえのことが好きだった。ずっとその気持ちを信じてたんだ。あんなに好きだったりえなんだから、ずっと一緒にいられるはずだって気が付いたら自分に言い聞かせるようになってたんだ。りえのことが重荷になって、付き合い続けることが苦しくなってもそうやって思い込ませていくことが、もう辛くなったんだ。それに気づいたから、もう別れることにしたんだ。もう一緒にはいられない。」

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