あなたの隣にいてもいいですか
「今週末の予定は?」

「特にないよ」

「土曜日、映画、行かない?」

「うん!行きたい!航生さん、何見たい?」

「いくつかあるんだよねー」

「私も見たいの沢山あるんだよね」

時間みて決めようか、ということになり
また連絡するね、と駅についたのでバイバイする。

「あの、茉実さあ・・・・」

改札に向かって歩き出そうとしたら呼び止められた。

「ん?」

「土曜日、映画の後、俺のウチ来る?」

「う、ん。いいけど・・」

「その・・泊まれる?」

「あ、うん。じゃあ、お邪魔します」

そう答えると、ふわりと笑い正面から私を抱きしめてくる。
額に額でこつんとされ、上を向くと、チュっと触れるだけのキスをされる。
思わず上着の裾をギュっと握ると、もう一度口付けてきて、さっきよりも深くなる。
息苦しくて、もう無理、と思うと同時に顔が離され、頭をギュっと抱えられて航生さんの胸に顔をうずめると

「やった。週末超楽しみ。
 映画の後、茉実とずっと一緒に居られるなんて・・・
 早く土曜日にならないかな~」

「私も楽しみ」

嬉しそうに話す航生さんに私も返事をして今度こそバイバイね、と言って別れた。

お泊りか。。少し性急なお誘いのような気もするが、誘ってくれたことがうれしい。
大丈夫かな。粗相しないかな、と早くも緊張してくる。

私は実家暮らしだ。
家を空けるときは事前に母に言わないと、良い顔をされない。
早速明日の朝、言わなきゃ。

家に着くと
りえちゃんからメールが来ていた

「岸本さん、とーっても誠実そうな人だね。
 いかにもエリート!って感じで。今度またゆっくり会いたいな」

挨拶程度しかしなかったけど、気を遣ってくれたのだろう。

今は土曜日の映画、そのあとのことばかり考えて緊張しちゃいそうだな。
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