あなたの隣にいてもいいですか
そして、今はまたクイズ中だ。ノーベル文学賞を取った人のフルネームと本の名前を聞かれて、フルネームは答えられたが、本の名前を間違えた。

「茉実って、その本読んでないの?」

「うん。そのうち読もうと思いつつ、読んでないな」

「読んでない人っているんだな。今までの彼女でもいなかったなー。
じゃあさ、○○って本は読んだ?似た系統の本なんだけど」

「ううん。読んでない。」

「茉実って読書する割に、ちゃんとした本は読んでないんだな」

私が日頃読む本は、ほとんどが小説だ。推理小説が多いが、賞を取った話題作もよく読む。母も私が買ってくる本を楽しみにしていて喜んで読んでいる。

さすがに私もカチンときて

「ちゃんとした本って何?私がいつも読んでる本も、ちゃんとした小説だよ。あんまりバカにしないで」

「・・・ごめん。バカにしたわけじゃないから・・・」

私も強めに言い過ぎたけど、元々、いつものことだから、そんなに怒っているわけではなかった。ただ、少し会話が途切れてしまってお互い黙っていると

「ごめん。本当にバカにしてないから」

と、再び謝ってきた。

「わかってるよ。今言われた本は読んでないの事実だし。」

「うん。ごめんね」

といって、私の頭をくしゃくしゃっと撫でた。

私も引きずるつもりはないし、もう怒っていない。しかし・・やっぱり、航生さんに私は物足りないのか。少し凹む。

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