あなたの隣にいてもいいですか
航生さんに釣り書きを渡し、その週末にすぐにご両親とまた話し合いに行ったらしい。

しかし、あまりうまくいかなかったのだろう。航生さんも今回は詳しく話さなかった。来週は実家には行かないから久しぶりにゆっくりデートしよう、と誘われた。

ここ数週間暗い気持ちになっていて楽しめていなかった。
久しぶりに出かけて、楽しめればいいな。

週末、映画に出かけた。ここ最近、疲れた様子だった航生さんも、今日は楽しそうにしている。
映画も仲良く見ることができてイタリアンで食事をすることにした。

「両親の件、少し、時間を置こうと思うんだ。とにかく茉実に合ってもらおうと必死だったど、まずは、時間をかけて話してみることにした。

 だから、しばらくの間は今のまま、結婚を前提に俺と付き合ってほしい」

「・・・航生さんは、それでいいの?」

私より、他の人、ご両親にも気に入ってもらえて楽しく付き合える人がいるだろうに・・

「茉実のこと好きだよ。待ってほしい。」

「・・・わかった・・・。」

航生さんは、私が不安であること、迷っていることを気付いているだろう。だけど、私の思いは聞こうとせず、自分の思いだけ私に伝えた。航生さんらしい・・・私も今は自分から別れを切り出す気はない。今だまだ・・・航生さんを信じて待ってみよう。

久しぶりの料理教室・・・りえちゃんと会うのも、試食会ぶりだ。あれから色々あって、りえちゃんと大雅くんともメールも電話もしていない。

「今日は大雅と予定合わなくて。茉実ちゃんに会いたがってたよ。」

「私も連絡しようと思いながらタイミング逃しちゃって・・
りえちゃん、終わったあと、少しお茶できる?話聞いてほしくて」

「もちろんいいよ。・・・・どうした?」

「後で話すけど、航生さんのご両親に結婚反対されてて・・・」

「結婚? 結婚の話、、っていうか、プロポーズされたの?」

「プロポーズっていうか、結婚したい相手がいるから、今度会ってほしい、ってご両親にお話ししたら私じゃダメだ、会わないって。」

「・・・なんか急展開だね。後でじっくり聞くよ・・」
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