あなたの隣にいてもいいですか
翌日、私が朝支度をして部屋を出ると
中森君と田中君はスキー板を持ってもう出るところだった。松嶋君はかろうじて皆を待っていてくれたがもう滑りたそうにしている。りえちゃん、絢ちゃんには先に行くように大雅くんが言ってくれたが、大雅くんが私を待つなら、一緒に待つ、というので午前中は主に3人で滑ることになりそうだ。
大雅くんが私に気を遣って、初心者コースに行くと言ってくれた。
絢ちゃんも上級ではないが、私よりは上手そうだ。
「リフト・・二人乗りだな。 絢、一人で乗れるでしょ?」
「ひどい~! か弱い女の子を放りだすなんて~」
と笑いながら言っているが
大雅くんと一緒がいいんだろうな、と私も思ったので
「絢ちゃん、ごめんね。
最初の一回だけ大雅くんと一緒にのってもらえれば後はコツがつかめると思うから・・・」
と私が申し訳なさそうに言うと
「ふふっ。全然大丈夫ですよ。
私、リフトで転んだことないしー」
と私に笑顔を向けつつ、大雅くんにあっかんべーと舌を出しながら、最初に乗ってくれた。
大雅君は、乗るときに私の腕をつかんでくれて降りるときは私が大雅君の腰をつかんで、転ぶことなく、降りることができた。
絢ちゃんは、一度滑り出したら
楽しくなってきちゃったようで、
ずんずん先に滑ってしまっている。
結局大雅くんが、私のお世話係になってしまって申し訳ない。
4回目のリフトを乗っているとき
「これ滑って降りたら、私、下の休憩所で
一回休むね。」
「了解。じゃあ、降りたら一回休もう。
疲れた?寒くない?」
大雅君が心配そうに聞いてくれる。
本当に優しいんだな。
りえちゃんは幸せ者だ。
「ううん。喉乾いたし、トイレ行きたいから。足パンパンだし、しばらく休んでるから大雅君、上級者コース行ってきて。」
「んー、でも・・・」
私を一人にするのを気遣っている様子なので
「本当に大丈夫。
りえちゃんとも一緒に、滑りたいでしょ?ごめんね、面倒見てもらっちゃって」
「全然いいよ。りえとは午後一緒に滑れるし。
でも、ありがとね。じゃあ、ちょっとだけ上行って滑ってくるね」
「うん。そうして。」
ついでに・・
昨日合流してからずっと気になっていたことを尋ねてみた。
「絢ちゃんて、いつもあんな感じ?」
「あんなって?」
「元々はりえちゃんの友達だよね?
何だか、大雅君のほうが仲良い感じがしたから」
「うん、まあ、あんな感じかな。
でも松嶋とも仲良いみたいだよ。
二人で飲みに行ったりもしてるみたい。」
ふ~ん・・
だからりえちゃんも気にしてないのかな。
私の思い過ごしかな。