あなたの隣にいてもいいですか
「まあ、そうの可能性は高いかもね。彼女、帰国子女ではないみたいだけど、留学とかしてたみたいだし、語学が英語以外も何語だか話せるらしいよ、J大出てるしね」

「へぇ、すごいね。おまけに美人だし。由香さんが茉実だったら良かったのにね」

・・・一瞬、何を言われたのかわからなかった。
由香が、私だったら・・・
航生さんは私が私だったから好きになってくれたんじゃなくて?それとも私より由香に先に出会ってたら由香を好きになっていたってこと? 

いや、私にプラスしてJ大卒の学歴と語学のスキルがついていたら良かったということか・・・多分、そういうことだろう。。悪気はない、、、というか、本音がつい口にでちゃったというか・・・

恐らく、ご両親と私のことで揉めて以来ずっと航生さんは思っていたのだろう。私が、もっと高学歴だったらよかったのに、って。

無言になった私に航生さんは気づいたのか

「でも、友達にはいないタイプかな。」

とフォローのつもりなのか、言い出した航生さんに

「由香は良い子だよ。とっても頼りになるし色んなこと一番相談できるのは由香なんだ」

私が咄嗟に気にしていない素振りをしたら航生さんも

「そっか。」と軽く息を付きながら言い、由香の話はそれきりになった。

だけど私は、胸にチクりと棘が刺さったままだ。航生さんは疲れ始めている。私も・・・だいぶ、疲れてきた。さっきの発言は、私を侮辱しようとしたものではないのだろう。だけど、本音なのは確かだ。未来の見えない付き合いは、あまり長くない方がいい。
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