あなたの隣にいてもいいですか
ここ最近、昔の彼女と比較されたことだったり、ご両親言っていた学歴のことだったり、航生さんから言われて傷ついたことばかり思い出していた。

だけど、航生さんは私が一番長かった、と言ってくれた。私のことを素敵な人だって言ってくれた。今となっては、それだけで、もう十分だ。航生さんは私との将来を考えて、ご両親との話し合いをきっと何度もしてくれたんだろう。航生さんは誰が見てもエリートだ。これからご両親も納得する素敵な女性と出会うだろう。幸せになってほしい、と、ちゃんと思えた。

今日来たカフェは航生さんが私に交際を申し込んでくれたときに来たカフェだ。航生さんも覚えているはずだ。だから、今日ここに入った時から覚悟はできていた。

ここで、サヨナラしよと思ったけど、航生さんが駅まで一緒に、というので駅まで行きながら、航生さんの部屋に置いてあるものを渡したい、と言ってきた。捨ててほしい、とお願いしたのだけどど、うしても捨てられない、と何度も言われたので、来週、もう一度会う約束をして、別れた。

その翌週会ったとき、航生さんは大分落ち着いていて、紙袋に入れた荷物を渡してくれた。最後まで、ありがとう、と言ってくれた。

これで、航生さんとはサヨナラだ。

家に帰り、両親に航生さんとお別れしたことを話した。釣り書きまで書かせて、嫌思いをさせたのに上手くいかなくてごめんなさい、と謝ると、父が、そんなことは気にするな、と優しく言ってくれた。
そこで、初めて涙がでた。
両親に心配をかけてしまった。申し訳ない気持ちと一緒に航生さんとの楽しかった日々を思い出して涙が止まらなかった。
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