Snow drop
「え、電話終わるの早いね……。」
レイジが目を丸くしながらそう言い、スマホを私を交互に見ていた。
「あぁ、大したようじゃなかったし大丈夫だよ。きっと。」
私は椅子にかけてあったブレザーに袖を通し、軽く埃を払った。
そして鞄を手に取り
「そろそろ帰るわー。」
といい驚くレイジに手を振り、彼らの傍を通り抜けた。
お、案外あっさり抜けた。ラッキー☆
と思ったのも束の間何故か私の手首を橙男が掴んでいた。
「ちょっと待って。」
「は?」
橙男に話しかけられた時思わず声を発してしまった。
私の声を聞いた瞬間男は口元に弧を描いた。