Snow drop
そして

「み ぃ つ け た ♡」

と一言呟いた。

一気に私の中をゾワゾワとした何かが駆け巡る。
私は今すぐこの手を離したい衝動に駆られたが、私の思いとは裏腹に男は力を強め、離さないとでも言うように私の手首を掴んでいる。
そして一気に手首を引っ張り私を引き寄せた。

「……っ!!」

勢い良く男の腕の中へと引き込まれた私。
抵抗するも男は力を弱めることは無く、私は諦め抵抗することをやめた。

「久しぶりだね〜。俺の事覚えてる?」

彼は私を抱き頬を擦り寄せながらそう言ってきた。

「全く記憶にございませんっ!」

私はそんな彼の顔を掌で押し顔を遠ざけ、できるだけ距離を取ろうとした。
彼は私の掌をペロリと舐めた。

「ひゃっ!!」

私はすぐさま手を退かし、彼の服で手を拭った。
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