闇色のシンデレラ
わたしは質問を続けた。



「志勇、どんなタイプの子が好きなの?」

「は?コレ」



すると速攻でわたしの頭をポンポン撫でる志勇。


出た、意味わかんない回答。



「……真面目に答えて」

「だから、お前」




タイプはどんな女性ですか、ってこっちは聞いてるのにそれじゃ答えになってない。


質問の意図が伝わってないんだろうか。


もしくはからかわれてるのかも。そう思って、わたしは口を尖らせた。


そんなわたしに志勇は頬を緩めて、こう言ってみせた。




「タイプなんていちいち考えたこともねえが、こんなに俺を夢中にさせるのはお前しかいない。
一生離したくないと思う女はお前が初めてだ」

「……え」



その言葉は体に染み渡り、まるで電撃が走ったみたいに駆け巡った。


……なんで、わたしなんだろう。


嬉しさや驚きより、そっちを疑問に思った。


志勇が嘘をついている気配はない。


だけど志勇を信じられない。


志勇の隣に立つための、あと一歩が踏み出せない。




「これだけ言っても伝わらねえか?」



そこで、急にトーンを落とした志勇。


伝わらないわけじゃない。


違うと言いたくて顔を上げると——



「なら、見せてやるよ」



艶美(えんび)に微笑む志勇の瞳とかち合った。
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