闇色のシンデレラ
予期せぬ表情に顔を赤らめていると、志勇は着ているワイシャツのボタンに手をかけ、ひとつひとつ外し始めた。


はだけた胸元から覗く、綺麗な鎖骨。


普段はそのシャツの下の隠れていて見ることのない、たくましい胸板。


腹筋は見事6つに割れてて───ってそうじゃなくて!



「志勇、ちょっとストップ!」



何する気なのこの人!


見せてやるって何を?なんで急に脱ぎ出したの?



「あ?何を勘違いしてんだ壱華」

「やだやだ!勝手に脱がないで!」

「脱がなきゃ見せられねえだろうが」



だから、何を見せるつもりなの志勇。


色々とツッコミたくても、間近で見る彼の身体がセクシーすぎて、わたしは口をパクパクさせるだけ。


男の裸に見慣れていないということもある。


さらに志勇の肉体は彫刻のように美しくて、発せられるフェロモンが濃厚で、直視できない。


どこまでも完璧すぎる。



「いいから、見ろ」



目を逸らしてしまったわたしに、志勇は背を向け命令する。



「壱華」



力のこもった声で呼ばれると、どうも逆らえないのがわたしの悪いところ。


仕方なく、片目だけ薄く目を開ける。


瞳に映ったのは、均等に筋肉のついた、たくましい背中。




その中心に浮かぶ、黒。



「あ……」







黒炎に包まれる、漆黒の狼に視界を奪われた。
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