闇色のシンデレラ
生ぬるい感覚に意識を取り戻した。


頭の当たりが湿っている。


まるで猛暑の中、うつぶせで寝た枕に染み付いた汗のように。


なんだろう、これ。とかすかに動かした指でそれを触り、うっすらと開けた目に飛び込んできたのは。





どす黒い、赤い、血液。





それを目にしたのを皮切りに、ズキンと頭に痛みが駆け巡る。



「……んん」



たまらず唸り声をあげたその時だ。



「……起きたか」



低い声とともに、頭全身に痛みが駆け巡った。






「あぁぁっ……痛い!」







自分の叫び声に朦朧(もうろう)としていた意識を取り戻した。


誰かに髪を引っ張られ、頭を無理やり持ち上げられている。


痛みに耐えて目を凝らすと、目の前にいたのは───




「光、冴?」



未だかつて見たことのない冷たい笑みを浮かべる光冴だった。
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