闇色のシンデレラ
SIDE 壱華
本家を出て、乗り込んだ剛さんの車。
とても静かで誰も口を開かない。志勇はよほどのことがあったのか、ぴったりと抱きついて離れようとしない。
バックミラー越しに目が合った颯馬さんも、肩をすくめて困ったように眉を下げる。
颯馬さんも志勇がピリピリしてるわけが分からないみたい。
「志勇」
だからわたしから志勇に話しかけた。
ちゃんと話を聞いてほしくて、恐ろしく整った美しい顔をじっと見つめる。
「なんだ」
「志勇って、本当いいとこ取りしてるね」
「……は?」
「今日見て思ったんだ。
目元はお父さんで、鼻と口はお母さん。
性格はお父さんよりだけど、今もこうして抱きしめてくれる優しさはお母さん。
志勇は2人の良いところを兼ね備えてる」
それは、志勇のご両親に出会って第一に思ったこと。
「それから、絋香さんが言ってたよ。
志勇は笑った顔がお父さんにそっくりなんだって」
紘香さんの裏表のないあの笑顔。
志勇は母親にちゃんと愛されているんだと知って嬉しかった。
わたしにとって母親とは憎いものだ。
だから本物のお母さんの優しさはわたしの心に響いた。
「それにとっても仲が良い。
オシドリ夫婦ってまさにあの2人を指す言葉みたい」
「そうか?物心ついた頃からああだからな。
まあ、親父は確かにおふくろへの情が深いが」
「うん、心からお互いのことが大好きなんだね。見てて伝わったよ」
何よりも、想い合っている紘香さんたちが羨ましくて。
「……いいな、わたしもあんな風になりたい」
2人のように、志勇と深く通じ合えたらいいなって、心から思った。
本家を出て、乗り込んだ剛さんの車。
とても静かで誰も口を開かない。志勇はよほどのことがあったのか、ぴったりと抱きついて離れようとしない。
バックミラー越しに目が合った颯馬さんも、肩をすくめて困ったように眉を下げる。
颯馬さんも志勇がピリピリしてるわけが分からないみたい。
「志勇」
だからわたしから志勇に話しかけた。
ちゃんと話を聞いてほしくて、恐ろしく整った美しい顔をじっと見つめる。
「なんだ」
「志勇って、本当いいとこ取りしてるね」
「……は?」
「今日見て思ったんだ。
目元はお父さんで、鼻と口はお母さん。
性格はお父さんよりだけど、今もこうして抱きしめてくれる優しさはお母さん。
志勇は2人の良いところを兼ね備えてる」
それは、志勇のご両親に出会って第一に思ったこと。
「それから、絋香さんが言ってたよ。
志勇は笑った顔がお父さんにそっくりなんだって」
紘香さんの裏表のないあの笑顔。
志勇は母親にちゃんと愛されているんだと知って嬉しかった。
わたしにとって母親とは憎いものだ。
だから本物のお母さんの優しさはわたしの心に響いた。
「それにとっても仲が良い。
オシドリ夫婦ってまさにあの2人を指す言葉みたい」
「そうか?物心ついた頃からああだからな。
まあ、親父は確かにおふくろへの情が深いが」
「うん、心からお互いのことが大好きなんだね。見てて伝わったよ」
何よりも、想い合っている紘香さんたちが羨ましくて。
「……いいな、わたしもあんな風になりたい」
2人のように、志勇と深く通じ合えたらいいなって、心から思った。