闇色のシンデレラ
SIDE 壱華




わたし、間違えたこと言った?


頭を冷やすのはどっちの方よ。


確かに、大学に行きたいと理由も教えず志勇に伝えて却下されたからって、ムキになったことはわたしが悪い。


だけど、あんなに怒ることない。


8月の試験まであと1ヶ月だから、そろそろだと頃合いだと思って勇気を奮い立たせて話したのに、結果は散々。


あんなに否定されるなんて。




それにしても、志勇がまさか東計大に通っていたとは。


東京七大学と謳われる東計大学。


キャンパスを6つ持つマンモス大学であり、歴史の長い由緒ある大学。


その大学に行きたいって思ってたんだけど、その意欲関心も今や風前の灯火。


諦めるしか、ないのかな。



志勇に嫌われたくないって常に思ってる。


だけど、自由を与えられて欲が芽生えたわたしは、もう自分を殺すほど利口じゃないの。


となれは、方法はただひとつ。


スマホを取り出し、アドレス帳から『川上剛』を引っ張り出した。
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