闇色のシンデレラ
気絶した壱華の震える体を抱きかかえる。


額には汗が滲み、顔は血が通っていないのかと思うほど蒼白だ。


それほどまでの苦痛を、黒帝どもは与えたというのに——




「……壱華」



こいつらはまだ壱華に許しを乞おうとするのか。


振り返ると、いつ起き上がったのか痛みに顔を歪める赤髪と、動揺を隠せない様子の潮崎のガキがいた。


あれほど気迫で忠告したはずだが、また壱華に近寄ろうとする。


馬鹿も度が過ぎると(みじ)めだな。



「……近寄るな」




致し方なく感情を表に出すと、極端に顔を強張らせる


誰が壱華を渡すものか。



「失せろ」



そう思うと自然に、後ろの組員も身震いするほどの殺気を込めて奴らを睨みつける。


だが、恐怖を感じそれでも踏みとどまろうとするクソガキ。


……身の程知らずが。





「壱華の前から消えろ。殺すぞ」





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