闇色のシンデレラ
あれだけ欲望にまみれた眼を見れば、俺なら奴の正体を見破れただろう。

俺が目を光らせていれば、光冴もあの女の虚言を信じなかったはずだ。



いや、俺が壱華を信じてやれなかった。



話を聞いたとき、あり得ないと感じていても、証言が十分の真っ赤な嘘の方を信じた。



だから壱華は本当に悪女なのか、試すために暴行した。


壱華から真実を語られるのを待った。


だが、一向に口を割ろうとしない。当たり前だ。



壱華は俺が裏切った素振りを見せた瞬間に、俺に落胆したのだ。


あいつが裏切りという行為を何よりも恐れているとは知らず。




そうして俺は壱華を深く傷つけた張本人となった。
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