闇色のシンデレラ

「逃げるな。絶対離してなんかやらねえ」



それでも志勇はわたしの意に反し、暴れようとする体を包みこんでくる。


混乱しているわたしは言葉という形で反発した。



「でも、わたしのせいで、わたしが志勇の言うこと聞かなかったから！」

「お前のせいじゃねえ。誰もお前を責めることなんかしない。悪いのはあいつらだ」

「違う、わたしが悪いの！わたしさえいなければ志勇に迷惑をかけることなんか……」




すると、志勇の腕の力が抜ける。


そっと手を放し、わたしを冷たい目で見つめた。



「……なぜ庇う？」

「……え」

「あいつらが、お前を傷つけたんだろ。
お前を追い詰めたのはあの黒帝だろ。
それなのにどうして自分を責める。そんなにあいつらの存在が消えないのか。

なら、いっそ俺の手で……」



「嫌、やめて！ごめんなさい」



無慈悲な眼差しの帝王。怖くて、恐ろしくて、志勇の服を掴んで声を荒げた。




「ごめんなさい……怒らないで。ごめんなさい志勇」