闇色のシンデレラ
いったい、いつ以来なのか。


長きにわかり枯れているものだと思っていた涙が、乾き切った心を、体を満たしていく。


それは幸せの涙だった。






「そばにいろよ。我慢なんてするな。

俺ならお前の望むこと全てを叶えてやれる。
悲しみも憎しみも、捨てたい過去も、俺が全部背負ってやる。

だから自分で自分を押し殺すな。
それでいい。何も気負わなくていい」





涙って、嬉しくても流せるんだね。


全部が全部、マイナスの感情から生まれるものではないんだね。


こうしてまたひとつ、志勇が教えてくれた。


泣くことは悪いことじゃない。


人に感情を伝える大切な手段であると。



純粋に育つことができなかったわたしが、この歳になってやっとそれを知った。志勇がいるから失くした感情を取り戻した。


だからわたしも志勇にもお返ししなくちゃ。


まだ、あなたにしていないことがある。
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