闇色のシンデレラ
わざわざ作ってくれたなんて本当にありがたい。


早速食べようと手を伸ばしたら。



「……志勇?」



なぜか志勇が手の届かないところへおぼんをひょいと持ち上げた。


どうしたの?



「颯馬が用意したもんをお前に食わせるか」

「え?いや、お母さんが作ったんでしょ」

「颯馬がおふくろに作らせたんだろうが。あいつが用意したも同じだ」



何かと思えば、また嫉妬しているみたい。


しかも実の弟に。


いつもなら少し厄介だなと感じる嫉妬心に、今はなぜかほっとしたけれど。



「……いじわるしないで」

「……っ」



せっかく用意してくれたご飯が冷めちゃう。



「志勇」



下から志勇を見上げて催促する。



「……仕方ねえな。やるよ」



すると志勇は渋々おぼんを下ろし、ベッドから離れたテーブルの上に置いた。


その前にはソファーが配置してあって、志勇はそこに座ると、ぽんぽんと叩いてこっちに座れと示す。


食べさせてくれるみたいだから言わないけど、元々わたしのためにってお母さんが作ったんだけどね。
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