闇色のシンデレラ
「いただきます」



ソファーに座り手を合わせ、みそ汁のお椀から手に取った。



「おいしい……」



口をつけたみそ汁は、おいしくて懐かしい味がした。


きっとちゃんと昆布と鰹節からお出汁をとってるんだろうな。香りも味も抜群だ。



「壱華とおふくろ」

「ん?」

「みそ汁の味が同じなんだよ」

「……え?そう言われてみれば確かに」

「初めてお前の手料理を食ったとき、あれは驚いたな。
おふくろの料理と同じ味がして、そのときに、俺とお前は縁があると感じた」



だから志勇と颯馬さんは、以前にわたしの作った料理を食べて驚いていたのかな。


ただの偶然に過ぎないかもしれないけど、なんだか運命的。


思わずそう伝えようとして目線を上げると、志勇はいつになく妖艶に微笑んでいた。




「お前となら、運命ってやつを信じてもいいかもな」




その言の葉はわたしの心を優しく包み込む。


どうして志勇の言葉は、他人を信じないと決めたわたしの心に届くんだろう。


そうして闇色の帝王に魅了されたシンデレラはついに夢を抱く。





「わたしも信じていい?
わたしも、志勇と巡り合えたこと、志勇とこうして過ごせること、今でも奇跡みたいだと思うの。

毎日が嬉しいことの連続で、本当に感謝しても仕切れない。

だけど、ひとつだけわがままを言うとね……これからもいっしょに居られたら、幸せです」






わたしらこの人との未来がほしい。


志勇の隣で夢が見たい。
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