闇色のシンデレラ
そりゃあ、いつの間にか若の隣を陣取った女を受け入れるのには時間がかかった。


どういう目的で若に近づいたのか探ったこともあった。


しかし探っても探っても分からず、こっそり依頼した情報屋の梟もシンデレラに関してはノーコメントだと。


それで自分の目で見極めなきゃならず、そうしていく内にこうだ。




あれだけいい女、この辺のどこを探しても見つからねえよ。


なんて考えが浮かんだもんだから自分でも驚きだ。






理叶も、噂に流されてもったいないことをしたもんだな。


ひょっとすれば、黒帝は彼女の影響で格段に盛り上がったかもしれないってのに。


そいつが持つ信念を曲げずに伸ばす。壱華さんには姐さんと同じくその力がある。


あれだけひとりの女にのめり込む若が、変わらず若頭の地位を保てるってのは、そのおかげもある。



このまま何事もなく続けばいいが、思い通りにならないのが極道の世界。


次に何が起こるかとんと検討がつかねえ。


それを命がけで守るのが俺たち護衛だ。


黒帝のあの2人もいつかその盾になれるのか。相当な努力と苦悩が必要だろう。



今はともかく『先代総長として』、黒帝の名がこれ以上廃れないことを祈るのみだ。
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