闇色のシンデレラ
「遅くなりました……ん?」
厨房に戻ると、そこに板前ではない人の後ろ姿があった。
細身の高い背丈、きっちりと整えられた長めの黒髪。その背中からも放たれる仄かな色気。
「司水さん?」と声をかけると彼はムチで打たれたように振り返り、そして険しい顔をした。
「壱華様、ああ、良かった。
突然ですが、今からお時間をいただけますか」
「今から、ですか。ごめんなさい、これから支度が……」
「この者たちとは話をつけておりますので、どうか、少しわたしとお話願います」
組員さんのお昼ご飯を作らなくちゃいけないから断ろうとしたけれど、司水さんは厨房とは通じている様子。
本当にいいのかと辺りに目配せすると、わたしを見て明るい表情で頷く金次郎さんと、軽くウインクする慶一さん。どうやら大丈夫みたい。
「分かりました。では、すみません皆さん、失礼します」
そうして移動して話しましょうという司水さんについていき案内されたのは、1階の和室。
所狭しと本が並べられた、書斎のようなスペース。
「どうぞお座りください」
中央には座卓があり、彼はそこに座布団を引くと、手招きをした。
言われるがままに座ると、彼は突然。
「この度は……大変申し訳ありませんでした」
机に両手をつき、深々と謝罪をした。
厨房に戻ると、そこに板前ではない人の後ろ姿があった。
細身の高い背丈、きっちりと整えられた長めの黒髪。その背中からも放たれる仄かな色気。
「司水さん?」と声をかけると彼はムチで打たれたように振り返り、そして険しい顔をした。
「壱華様、ああ、良かった。
突然ですが、今からお時間をいただけますか」
「今から、ですか。ごめんなさい、これから支度が……」
「この者たちとは話をつけておりますので、どうか、少しわたしとお話願います」
組員さんのお昼ご飯を作らなくちゃいけないから断ろうとしたけれど、司水さんは厨房とは通じている様子。
本当にいいのかと辺りに目配せすると、わたしを見て明るい表情で頷く金次郎さんと、軽くウインクする慶一さん。どうやら大丈夫みたい。
「分かりました。では、すみません皆さん、失礼します」
そうして移動して話しましょうという司水さんについていき案内されたのは、1階の和室。
所狭しと本が並べられた、書斎のようなスペース。
「どうぞお座りください」
中央には座卓があり、彼はそこに座布団を引くと、手招きをした。
言われるがままに座ると、彼は突然。
「この度は……大変申し訳ありませんでした」
机に両手をつき、深々と謝罪をした。