闇色のシンデレラ
銃声をひとつ、身体を駆け巡った衝撃の後に感じた。


乾いた発砲音。それは耳に残る嫌な音だった。



ああ、わたし撃たれたんだ。


体が勝手に後ろへ傾いてそれを知覚した。


死を意識しているのか、そこまでのわたしはなぜか冷静だった。




「壱華!」



地面に激突すると思ったそのとき、志勇がわたしを抱き止めてくれた。



「あぁっ……!」



同時に体に走る猛烈な痛みに、言葉にならないうなり声を上げた。


どこを撃たれた?何がおかしい?








全く状況が分からないのに、確かなこの痛みは、地面に散ったこの赤は、いったい何なの?
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