闇色のシンデレラ
SIDE 壱華
不意に、目が覚めた
ふと気がついたらさっき見た白い天井がわたしの視界に広がっていた。
左を見ると夏日の光が窓から差し込んでいて、右を見れば——
「壱華、起きたのか?」
少しやつれた様子の志勇がいる。
この様子だと、ろくに寝ていないのかな。
「志勇」
その顔に触れたくて手を伸ばすけど、届かないから体を起こそうとした。
「いった……」
ところが、左腕からの痺れるような痛みを受け、わたしの体は起き上がることをやめた。
それでも疲れ切った彼を癒してあげたくてひ弱な腕を伸ばす。
すると志勇はその手を握り、前かがみになってその手を自分の頬の位置までもっていった。
「無理に起きるな。傷口が開く」
「分かってる。でも、志勇が心配で」
「俺が?」
「うん、すごく疲れた顔をしてる。
だからこうやって触れ合っていたら、気休めになるかなって」
起きたばかりでしわがれた声で話すわたしに、志勇は自分の頬に当てたわたしの手をぎゅっと握りしめる。
大事な物を壊してしまわないようにそっと。
だけど離さないように力強く。
不意に、目が覚めた
ふと気がついたらさっき見た白い天井がわたしの視界に広がっていた。
左を見ると夏日の光が窓から差し込んでいて、右を見れば——
「壱華、起きたのか?」
少しやつれた様子の志勇がいる。
この様子だと、ろくに寝ていないのかな。
「志勇」
その顔に触れたくて手を伸ばすけど、届かないから体を起こそうとした。
「いった……」
ところが、左腕からの痺れるような痛みを受け、わたしの体は起き上がることをやめた。
それでも疲れ切った彼を癒してあげたくてひ弱な腕を伸ばす。
すると志勇はその手を握り、前かがみになってその手を自分の頬の位置までもっていった。
「無理に起きるな。傷口が開く」
「分かってる。でも、志勇が心配で」
「俺が?」
「うん、すごく疲れた顔をしてる。
だからこうやって触れ合っていたら、気休めになるかなって」
起きたばかりでしわがれた声で話すわたしに、志勇は自分の頬に当てたわたしの手をぎゅっと握りしめる。
大事な物を壊してしまわないようにそっと。
だけど離さないように力強く。