闇色のシンデレラ
「今日はあなた様に聞いていただきたい話があり参上いたしました」



フロア奥の部屋に案内されたわたしたち。


接客用のソファーとガラステーブル、事務机一式が置かれているだけの殺風景な部屋。ここが若頭専用の部屋らしい。


黒いソファーに志勇と並んで座らされ、向かいには司水さんがひとりで座っている。


颯馬さんと剛さんは見守るようにソファーの脇に立っているという配置だ。



「わたしに……？」



部屋を一望したところで、司水さんの言葉に不安を覚える。


わたしに何を語るつもりでいるんだろう。



「聞いてやれ、大丈夫だ」



彼にそう言われたら大丈夫な気がして、わたしは聞く体勢に入った。


司水さんも今のままで十分いいのに、また背筋を伸ばして姿勢を正した。
< 272 / 409 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop