闇色のシンデレラ
「やけにこそこそしてるからてっきり浮気かと。
ああ、別にお前を信用してないわけじゃねえんだ。
それだけお前のこと好きだから、不安なんだよ」

「要は嫉妬深いんだね」

「ああ、悪かったなこんなに心の狭い男で」

「ううん、わたしも志勇へのプレゼント投げつけてごめん」



結局すぐ仲直りしたわたしたち。


志勇はわたしを抱きしめながら、わたしの顔の前まで紙袋を持ってきた。




「ちなみにこれなんだ?」

「開けてみたら?」



志勇が包みを解いて開けると、出てきたのは高級ブランドの腕時計。


本家の厨房で4ヶ月働いて、その分のお給料を全てつぎこんで買ったものだ。



「お前、これ結構したろ。自分で買ったのか?」



こくっとうなずくと志勇は眉間にシワを寄せて首をかしげた。



「有り金叩いて俺のために?」

「……うん」

「は?最高かよ。でも俺につぎ込んでないでたまには自分のために使えよ」

「別に欲しいものなんてないからいい。
もう一番欲しいものは志勇がくれたから」

「……」

「志勇」



黙り込んでしまった志勇。


下からのぞきこむと、志勇はさっきの怒り顔はどこにいったのか、満面の笑みを浮かべていた。



「はっ、最高の誕生日になりそうだ」



志勇は笑ってわたしと顔を合わせ、それから優しくキスをしてくれた。
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