闇色のシンデレラ
「何しに来た」

「はあ?何しに来たじゃねえよ。
なんで昨日本家に来なかった」

「……昨日?じゃあ今日は28日か」



開放されたところで質問を投げると、寝起きなのか、すっとぼける兄貴。


涼しい顔してそういうもんだから、更にイラッときた。



「28日ですけどー!明日には全国から直参が集まってきて、忘年会やら新年会やら開催するから本家に来てほしいんですけど!?」

「へぇ、そうか……」



すると兄貴はにやり、それはそれは嬉しそうに笑みを作った。


なんだよ気持ち悪い笑い方しやがって。


にしても、なんで服がはだけてるんだ?


……まさか。



「ところでさ、兄貴」

「あ?」

「今までずっと営みまくってたわけ?」

「それ以外に何がある」



おい、なぜドヤ顔なんだ?当然ってごとく腰に手を当て仁王立ちする兄貴。


へぇ、朝から晩まで好きな子とベッドの中か、いいなぁ……いや、よくねえ!



「このクソ忙しい年末にナニしてんだ、あんたら!俺が来なかったら今もヤってたってことかよ!」

「そうなるな。で、お前何の為に来たんだ?用がないならさっさと……」

「いや、本家に来い!下半身がバカになる前にさっさとやめろ!」

「壱華の前じゃ仕方ねえだろ。嫌にでも抱き潰したくなる」

「……」



もう、絶句だ。目の前の男は本当に兄貴なのか?


俺には女に骨抜きにされたアホにしか見えない。


こいつほんとにあの東の狼かよ。
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