闇色のシンデレラ
それから飛ぶように年を越し、迎えた元日。


わたしは志勇に誘われ初詣に行くことになった。


用意してもらった振袖を美容師である涼に着付けしてもらって、お母さんと一緒に神社に向かった。


現地集合して車から降りると、志勇はニタニタしながら近づいてきた。



「やっぱり黒だよな」

「っ……!」



志勇は、すりすり、さりげなくわたしのお尻を触ってご満悦の様子。


静粛な神社仏閣でセクハラなんてして。


この罰当たりめ!



「黒だと脱がせたときにお前の肌の白さが際立つし、うん、いいな」



いやらしい手つきで触られて、言いたい放題いわれて、正月からため息をつきそうになった。


だから、その代わりすました顔で文句を言ってやることにした。




「煩悩の塊ね。108回の鐘の音じゃ足りなかった?」



直後、それを聞いた側近、及び護衛のみなさんが吹き出したのをわたしは知らない。
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