闇色のシンデレラ
不意に身体の自由が利かなくなる。
平衡感覚を失い、地面に滑り込むように転がりこんだ。
右の太腿の裏に激痛が走る。撃たれたのだ。
「壱華!」
しかし、俺は己の容態など見向きもせず、一途に壱華を見ていた。
壱華は座り込んで泣いていた。
傍らには、撃たれたのだろうか。赤髪と潮崎のガキが横たわっていた。
アスファルトの上に2人分の血だまりができていた。
「壱華!」
「……志勇?」
ようやく呼びかけに答え、視線を絡ませた壱華に寄ろうと、渾身の力を込めて立ち上がった。
「志勇……撃たれた、の?待って、そっちに行くから!」
壱華も立ち上がろうと腰を浮かせるが、ふとその後ろに人影があるのを見た。
壱華はこちらに気を取られて見えていない。
「……やめろ」
それは、立ち上がった壱華の背中に何かを突きつける。
「やめろ!」
刹那、壱華は吊っていた糸が切れたように倒れ込んだ。
背後に立つ人間の手には、まだ電流が流れたままのスタンガンが握られていた。
そいつはそれを仕舞うと、気絶した壱華を抱き上げた。
「クソッ!壱華に触るな!」
動かない足を引きずりながら、警告する。
その人間は一瞬動きを止めたが、最後の銃声が響いた後はどうなったか見ていない。
今度こそ俺は立っていられなくなった。
俺は再び背後から撃たれた。左肩だった。
「ぐっ……壱、華!」
それでもなお、俺は唯一の名を呼び続けていた。
平衡感覚を失い、地面に滑り込むように転がりこんだ。
右の太腿の裏に激痛が走る。撃たれたのだ。
「壱華!」
しかし、俺は己の容態など見向きもせず、一途に壱華を見ていた。
壱華は座り込んで泣いていた。
傍らには、撃たれたのだろうか。赤髪と潮崎のガキが横たわっていた。
アスファルトの上に2人分の血だまりができていた。
「壱華!」
「……志勇?」
ようやく呼びかけに答え、視線を絡ませた壱華に寄ろうと、渾身の力を込めて立ち上がった。
「志勇……撃たれた、の?待って、そっちに行くから!」
壱華も立ち上がろうと腰を浮かせるが、ふとその後ろに人影があるのを見た。
壱華はこちらに気を取られて見えていない。
「……やめろ」
それは、立ち上がった壱華の背中に何かを突きつける。
「やめろ!」
刹那、壱華は吊っていた糸が切れたように倒れ込んだ。
背後に立つ人間の手には、まだ電流が流れたままのスタンガンが握られていた。
そいつはそれを仕舞うと、気絶した壱華を抱き上げた。
「クソッ!壱華に触るな!」
動かない足を引きずりながら、警告する。
その人間は一瞬動きを止めたが、最後の銃声が響いた後はどうなったか見ていない。
今度こそ俺は立っていられなくなった。
俺は再び背後から撃たれた。左肩だった。
「ぐっ……壱、華!」
それでもなお、俺は唯一の名を呼び続けていた。