闇色のシンデレラ
「……え?」

「だからこうして赤星が……おっと、元警察官の佐々木が、お前を連れ帰ってきたんや」

「……」

「こいつは警察に潜り込ませた犬。
情報収集のため諜報活動をさせてたが、ことに乗じて壱華を奪還できるとは……」

「ことに、乗じて?じゃあ今回の奇襲は、西雲会が仕掛けたっていうの!?」

「あん?ちゃうわ。……そっから説明せえへんとあかんのか。
……警視庁の一部が、極山とつながってるんや。
とある警視監が荒瀬組を潰すために、あろうことかヤクザに魂を売った」




警視監というワードを聞いて、美花と実莉の顔が浮かんだ。


もしかしたらあの2人も関わっていたのだろうか。


だから以前再開した際、わたしを道具だの駒だの語っていたのだろうか。


今考えれば、確かにつじつまが合う。



「極山と警察は、秘密裏に計画を練ってたんや。
荒瀬っちゅうでっかい城を手っ取り早く落とすにはどうしたらええんか」

「……」

「それに利用されたんがお前。
帝王が女を拾ったと報告を受けて以来、奴はとあるマンションに入り浸ってたらしい。
警察が正義の名のもとに管理会社を脅して調べると、そこに荒瀬志勇の住処があった」




……わたしのせいだ。


志勇が狙われたのは、わたしという重荷があったからだと、そのとき始めて知った。




「車を尾行して、マンションに帰る時期を見計らい、荒瀬志勇を殺すつもりで奇襲をかけた。それが今回の騒動の話」



殺すと口にされて、背筋に悪寒が走った。


もしかすると本当に、志勇は殺されていたのかもしれないと。



「けどまあ、それはこいつのおかげで失敗に終わったけどなあ。
誰も死なんかった。不幸中の幸いや」



そういって赤星を指さす覇王は、ふとわたしの顔をのぞきこんだ。





「……なんや、その顔」

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