闇色のシンデレラ
「そしてその毒牙は西雲会にも……。
奴はは西雲会と確執状態にあった天音を引き入れた。何をとち狂ったんか、それに乗った天音は西雲会を抜けた。
2000人近くの部下を引き連れ、極山と同盟を組んだ」

「組織を抜けた?西雲はそれを許したの?」

「引き止めたところで内輪揉めの再開や。どうしようもなかった。
そうしてついに、極山は西の一部を手に入れた」



それから望月はわたしをじっと見つめた。


まるで話の本筋はここからだと言っているようだった。




「そんで、つい最近のことや。闇を躍動する極山会に目をつけた組織が現れた」

「それが警察?」

「せや、警視庁に務める警視監が極山に目をつけた。
正義の行使の妨げである荒瀬組を潰すため、山城を呼び寄せた」



これで、謎が解けた。


なぜ美花が警視監の息子なんかを金づるにしようとしたのか。


美花は権力や経済力で選んだわけじゃないんだ。



「そんなとき、運の悪いことに壱華の出生の謎が解けた。
あの姉妹が警察の力を利用して、生い立ちの秘密を解体してしまったんや」



あいつらは、わたしに隠された秘密を探ろうとしていたんだ。



相川亮太(あいかわりょうた)が必死で隠してきた秘密が、皮肉にも身内によって暴かれたんや」



だけど、相川亮太と呼称されたときまたひとつ謎が生じた。



「叔父さん……?」

「これも、壱華は知らん話やな。
あの男は、壱華の両親が亡くなった後、お前の存在をかくまってた張本人やで。
ほんまに賢い人間でなあ。度肝を抜かれたわ」



そうしてここでもうひとつ、秘密が秘め事ではなくなろうとしていた。
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