闇色のシンデレラ
「……っ」



口から飛び出そうになった驚きを噛み殺す。


は?なんでやん、そこまで密着する必要ないやろ。


せやけど組長は表情変わらずどっかり座ってはるし、その側近なんかニコニコ微笑ましく笑ってる。


若頭補佐なんか、呆れたように、ははっと笑いよるし。


当の本人は周りの目なんか気にもせんと、膝に乗っけた壱華を甘ったるい雰囲気全開で愛でとる。


壱華はさすがに頬を紅潮させてるけど。



なんで誰もツッコまんのかい!それが自分らの普通なんか!?


もう、色々と腹いっぱいや。荒瀬組おそるべし。


いやしかし、冷酷な帝王と畏れられるもんがここまで壱華を溺愛とは。





……これは、まだ可能性があるな。


えらく余裕こいてる狼を見て、ひとり、ほくそ笑んだ。
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