闇色のシンデレラ
すると望月は最敬意を示す座礼をした。



「勝手ながら、謝罪をしに参りました。
我々は15年前の極山への復讐のため、彼女を利用し、潮崎組の若頭を人質として大阪に連れ去ったのは紛れもない事実。
それ故、この場を借りて謝罪を……」

「はっ、思ってもねえことを平然と……」



ところが志勇が鼻であしらうと、彼は口を閉じた。



「何が望みだ。さっさと化けの皮剥ぎやがれ。
ヤクザも警察も騙して壱華を(かくま)ったのも、復讐と題し極山を潰すことで荒瀬を助けたのも、持ちつ持たれつで荒瀬に何か要求したいためだろう?」

「……」



狼は問い詰め彼を睨む。


対する相手は礼を解き、座った目をして狼と睨み合っていた。






「ふっ……」



目を細め、視線を斜め下に落とす。しばらくそうして肩を震わせていた。


しかし、急に顔を上げると、歯を見せて豪快に笑った。




「いやぁ、参った参った。
そこまで見透かされてるとは……さすが狼、抜け目がないなぁ」






猫かぶりをしていた彼は、皮を破って虎と成った。
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