闇色のシンデレラ
「しゆ……ん」
口封じといわんばかりに、素早く唇にキスをされた。
「ねえ……んむっ」
再度口を開こうとするともう一回。
1ヵ月ぶりのキスはくちばしでつつかれるみたいなフレンチキスだった。
そんな軽いものなのにご無沙汰で恥ずかしい。
「謝る気だったろ、分かりやすいんだよ」
志勇はお見通しだったらしく得意げに笑う。
「だって、今回の件はわたしが絡んでるから。
わたしが西雲会の統帥の孫だってもっと早く分かってたら、状況は変わってたかな。
調べようと思えば調べられたのに、真実が怖くて目を背けてしまったし」
「出た、そうやって自分を追い詰めるクセ。それ直した方がいいぞ」
でも本当のことなのに口ごもると、志勇の手がわしわしと頭をなでてきた。
「……お前は根っから優しいんだな。
親父も言ってたが、誰も死んでねえし、悪いのは極山だ。
お前が責任を負う必要はない」
「……」
「どっちかつーと俺の責任だ。俺はお前に真実を隠し続けた。
真相を知れば、お前は恐れて俺から離れる道を選ぶと思った」
「そんなこと、ないのに」
すると志勇は撫でていた手を離した。
「俺は、お前を利用するために近づいた人間だからな」