闇色のシンデレラ
ぶんぶんと無言で首を横に振る。感極まって声がうまく出せなかった。
突然指輪を贈られて、サプライズがこんなに緊張するものだと思わなかった。
「指輪の中央はダイヤ。その左右に埋め込んだのは、お前と俺の誕生石。アメジストとタンザナイト。
アメジストは『真実の愛を守り抜く石』、タンザナイトは『人生を良い方向へ導き光をもたらす』謂がある。
新しく歩き出した俺達にちょうどいいだろ?」
滞りなく埋め込まれた石の説明をする志勇。
……やっぱり、こういうのいつも豆に調べてるなぁ。
「綺麗……すごく、嬉しい」
でも、鼻の奥がツンとして感想をうまく伝えることしかできなくて。
「大丈夫か。おい、まだ泣くなよ?」
今にも泣きそうだと心配されて、軽く笑われてしまった。
すると志勇は宝石みたいな瞳の中にわたしを映し入れた。
つないだ志勇の手は熱い。
「今すぐになんて言わない。けど、伝えておきたい言葉がある」
そう言って視線を左手に落とすと、彼に比べてずいぶん華奢なわたしの手を両手で包み込んだ。
伝えておきたいこと?顔を上げると、同じ瞬間に瞳が合わさった。
「お前と一生、同じ道を歩いていきたい。
俺と、結婚してくれ」
言葉はゆっくりと心に浸透して、視界は涙でキラキラ揺らめいて。
目尻から感情と共にあふれたそれは雫となって頬を滑り落ちた。