闇色のシンデレラ
「はい。末永く、あなたのそばに居させてください」
手を握り返して笑顔で言葉にした。
志勇はたくましい腕でわたしを抱きしめる。
わたしも深く息を吸って志勇を全身で感じて抱きしめ合った。
ところが志勇は不意に体を離すと慎重な顔をする。
「壱華」
「ん?」
「愛してる」
「……あら、よほどのことがない限り言わないんじゃなかったの?」
「さあな、よっぽどのことが起きたんじゃねえの?」
彼はこの5文字を、真正面から伝えたい主義らしい。
2回目だけど、この上なく照れくさくてはにかむ。
志勇はその反応を見て、今度は甘い笑みを浮かべて呼んだ。
「壱華」
「はい」
「永遠に、お前を、愛し続ける。覚悟しとけ」
際限なく注がれる愛情。
愛に飢えた狼は、狂おしいほどの愛情を注ぎ続けても、朽ちることのない『対』を欲していた。
そしてわたしを見初めた。わたしを対と認めた。
だから、この男のために生きることがわたしの生きる意味。
あなたの色に染められたわたしの宿命。
もう言葉で愛を確かめるのは十分だと、深淵の底のような互いの黒い瞳を見つめ、深い口づけを交わした。