闇色のシンデレラ
「お前に付きっきりで“溜まって”んだよ、俺。
どうしても食わねえならそっちの世話させるぞ」

「ひぃ……」



思わず弱々しい悲鳴が唇の間から漏れた。


この男、生娘の前ではなんてことをいうんだろう。


想像するだけで血の気が引いた。



「選べ。俺に世話されるか、それとも俺の世話をするか」



選択肢を押し付ける男に、わたしはうつむく。



「食べ、ます……」



そして小さく、まだしわがれま声で呟いた。


もう辛い思いはしたくないから、従うしかない。


ひとまずは人形のように、逆らわないようにしよう。



「ん、じゃあ食え」

「……あの、自分で……」

「いいから食べろ」



でも、どうしても自分で食べさせてくれないらしい。


仕方なく、小さくひと口お粥を食べた。



……何日ぶりに食べ物を口にしただろう。


ほどよく広がる塩味をなぜか懐かしく感じた。
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