闇色のシンデレラ
あれから1ヶ月経ち、壱華は変わった。


細くて折れそうだった手足は肉付き、痩せこけていた頬も丸みを帯びて顔つきは綺麗になった。


まるでなかった胸も、見違えるほどふくよかなものになりつつある。


……まあ、俺にとっちゃまだまだだが。


話しかければ返答するし、俺が抱きしめると安心したように身体を預けるようになった。



けれど“違う”。



俺に寄ってくる女は媚びるか恐れるか、そのどちらかだ。


しかし壱華はそのどちらでもなかった。


例えるなら“無”。


その漆黒の瞳に、俺が映ることはない。
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