闇色のシンデレラ
なんて自嘲(じちょう)してみるけど、わたしの表情は変わらない。


そうだ、わたしはその頃から、自由に笑うこともできなくなったんだ。



「家に帰っても、わたしに居場所はなかった」



家でも自由がなく、おばさんは家事を全部押し付けて、機嫌が悪いときはわたしに当たり散らす。


暴力なんて当たり前。まるでわたしは奴隷だった。



「ずっと孤独で、人に遊ばれて生きていくんだって、絶望してた」



中学を卒業してからはだいぶ状況が変わったけれど、あの家族から解放されることはなかった。


思い出すほど悲しくなる。


こんな話、早く終わらせたい。



「……そんなとき、黒帝に出会った」




そしてわたしは、理叶と光冴に出会ってからの経緯を静かに語った。



荒瀬さんはそれを始終険しい顔をして聞いていて、わたしを強く抱きしめる力を緩めない。


痛いけど、なぜか心地いい。
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