闇色のシンデレラ
「ご理解いただけたでしょうか?
あまり彼女を悪く言うと若の堪忍袋の尾が切れますので、お気をつけくださいね。それでは失礼いたします」



口を開いてアホ面の女たちを鼻で笑い、彼女についての説明は終了。


さっさと兄貴たちと合流しますかね。


振り返ると、そこに大きな人影があった。



「あれ、力。お前いたんだ」

「……認めて、いいんですか?」



歩み始めた俺にそう耳打ちしてきたのは、普段は厨房、今日は人手不足のため護衛に回った力。


こいつの歳は19だけど、タッパあるし落ち着き払ってるから、そこらの※若衆と変わらないため駆り出されたってとこだな。



「さあな、俺は兄貴の命令に従っただけ」



そうは言いつつも、俺はどうして彼女の味方をしてしまったのか。


相川壱華。彼女は妹をレイプさせて遊んでたとか、とんでもないアバズレだなんて噂が立ってた。


まあ、あれもこれも相川家の姉妹が作った虚言だったが。


実際出会った彼女は端正な顔立ちをした美少女だった。



それに何を隠そう、あの子は『狼』が気に入ってる女だ。





※若衆……ヤクザ用語で「子分」を指す言葉。会社でいう平社員。
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