闇色のシンデレラ
闇の世界の頂点に立つ東の狼。


日本最大の極道、荒瀬組を束ねる帝王。



そんな冷酷な狼が、彼女の前では笑う。


そんな無慈悲な帝王が、無条件に愛情を注ぐ。


この間久しぶりに兄貴の家に上がったときなんか、膝に乗せて微笑みかける姿を見て、危うく素が出そうになった。


だけど彼女は、女なら誰もが目の色を変える帝王を前にいつまでも無表情で。


見向きされなくても、できる限りそばに居てやる兄貴がいまいち分からない。


それが『こちら側の計画』のため作った偽りの表情なのかどうなのか、ポーカーフェースの兄貴のことだから見当つかない。



「まったく、兄貴は何考えてんだか」



兎にも角にも、相川壱華はこの世界に影響を及ぼす存在であることに間違いはない。


彼女を拾ったことは荒瀬組にとって吉と出るか凶と出るのか。


さて、これから面白くなりそうだ。
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