闇色のシンデレラ
「壱華、颯馬の方が肉が多い」

「誰が見ても志勇が一番多いよ。いいから食べよう?」



結局、ダイニングテーブルを囲んだのは計4名。


できたてのご飯を前に文句を言い出した志勇をなだめすかして、みんなでいただくことに。


箸を持った隣の志勇と正面の颯馬さんは、みそ汁からひと口。


そして、2人して固まった。


驚きと戸惑いが混在しているような表情をとるお二方。


……そんなにおいしくないの?



「……同じだ」



ショックでお箸を持ったまま動けないでいると、颯馬さんから零れたつぶやき。


何と同じなの?それより味はどうなの?



「剛さん、味、どうですか?
あの、おいしくなかったら無理して食べないでください」

「いや、美味いっすよ。本当に、嘘じゃないですから」



不安になって、お腹が空いていたのか凄い勢いで食べてる剛さんに訊いたら、真摯(しんし)に対応してくれた。


なるほど、まずくはないらしい。


ほっとしてわたしも食べようとしたところ、ツンツンと、テーブルの上に置いた手に伝わる刺激。


横を見やると、お茶碗を持った志勇が。



「おかわり」

「早すぎない?」
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