闇色のシンデレラ
お嬢
5月中旬、リビングの大きな窓から望める空の五月晴れが見事なこの頃。
わたしは8月の高卒認定試験に向けて、志勇の隣で勉強に専念していた。
ヒマそうな志勇は頭を撫でてみたり、わたしの髪をくるくるして遊んだり。
ところで、よく髪を触る志勇だけど、どんな髪型が好きなんだろう。
「志勇」
「ん、勉強終わりか。
天気がいいから、やっぱり今日は俺とデートしたいってか?」
「いや、違うし全然そんなこと思ってないけど……志勇ってロングとショート、どっちの髪型が好き?」
「お前が好き」
……ん?
「えっと……ロングヘアとショートヘアならどっちが好き?」
「だから、お前が好き」
出た、キャッチボールしてくれない志勇。
「お前がする髪型なら何でも好き、って意味だ」
ああ、なるほど。……え?
嬉しいけど、ドキッとしたけれど、それ、一番困る返答だわ。
「で、髪切りに美容院でも行きたいのか」
……美容院か。
思い出せばおばさんは『あんたなんかに金かけられない』って連れて行ってくれなかったし、お金もないから自分で切ってた。
別に髪くらい切らなくてもどうってことないけど、綺麗になりたいって願望はあったから、自分の好きなようにオシャレができる美花と実莉が羨ましかった。
だからもう我慢しなくていいって言うなら。
「……行きたい」
「分かった。知り合いに美容師がいるから連れてってやる。ちょうど明日、その辺で野暮用があるしな」
「ほんと?」
「その代わり、今からデートが条件な」
「え?うん、いいよ。ありがとう」
やっぱり志勇のことだから条件つけてきたけど、お願いを聞いてくれるところ、優しいと思う。
とにかく、明日が楽しみになってきた。
わたしは8月の高卒認定試験に向けて、志勇の隣で勉強に専念していた。
ヒマそうな志勇は頭を撫でてみたり、わたしの髪をくるくるして遊んだり。
ところで、よく髪を触る志勇だけど、どんな髪型が好きなんだろう。
「志勇」
「ん、勉強終わりか。
天気がいいから、やっぱり今日は俺とデートしたいってか?」
「いや、違うし全然そんなこと思ってないけど……志勇ってロングとショート、どっちの髪型が好き?」
「お前が好き」
……ん?
「えっと……ロングヘアとショートヘアならどっちが好き?」
「だから、お前が好き」
出た、キャッチボールしてくれない志勇。
「お前がする髪型なら何でも好き、って意味だ」
ああ、なるほど。……え?
嬉しいけど、ドキッとしたけれど、それ、一番困る返答だわ。
「で、髪切りに美容院でも行きたいのか」
……美容院か。
思い出せばおばさんは『あんたなんかに金かけられない』って連れて行ってくれなかったし、お金もないから自分で切ってた。
別に髪くらい切らなくてもどうってことないけど、綺麗になりたいって願望はあったから、自分の好きなようにオシャレができる美花と実莉が羨ましかった。
だからもう我慢しなくていいって言うなら。
「……行きたい」
「分かった。知り合いに美容師がいるから連れてってやる。ちょうど明日、その辺で野暮用があるしな」
「ほんと?」
「その代わり、今からデートが条件な」
「え?うん、いいよ。ありがとう」
やっぱり志勇のことだから条件つけてきたけど、お願いを聞いてくれるところ、優しいと思う。
とにかく、明日が楽しみになってきた。