自動車学校殺人事件〜バカなアイツは名探偵〜

旬がそう言った刹那、教習が終わるチャイムが鳴る。そのチャイムの音を聞くとすぐに生徒たちは立ち上がった。

「お疲れ様でした！」

旬は生徒たちに声をかけ、教室を出ようとする。その時、「先生！」と美竜が声をかけてきた。

「質問いいですか？」

「うん、どうぞ。次の時間は大丈夫なの？学科とか運転とかじゃない？」

「次は模擬なんで大丈夫です！」

「わかった。どうぞ」

やった、と美竜は嬉しそうに笑う。旬はどんな質問かと美竜の言葉を待った。

「どうして、小型特殊自動車の免許では原動機付自転車が運転できないんですか？」

その質問に、旬はガクリと崩れ落ちそうになる。何も知らない、と言いたげな美竜にため息をつきたいのを堪えながら旬は言った。

「あのね、このイラストをよく見て？小型特殊自動車っていうのは、作業機を取り付けた車両のこと。原動機付自転車は、ざっくり言えばエンジンのついた自転車。全然違うでしょ？自転車が乗れるからって機械を運転できないの」