自動車学校殺人事件〜バカなアイツは名探偵〜

「ああ〜、なるほど！そうなんですねぇ〜」

美竜はニコニコと笑う。相変わらず模擬では散々な点数だ。何回も仮運転免許の試験を受ける羽目になるんじゃないかと旬は心配を通り越している。

「ありがとうございました！これでのんびりご飯が食べられます！！今日はエビピラフにしよっかなって思ってて。でも、気になったことがあったらおいしく食べられないじゃないですか〜」

「あのね、ご飯も食べなきゃいけないけど、志賀さんはもう少し危機感を持った方がいいよ。模擬、一枚も合格点に達したことがないでしょ」

「は〜い。ピラフ食べたら勉強します！」

笑いながら教室から出て行く美竜を、旬は見送る。そして美竜の姿が見えなくなった刹那、口から大きなため息が漏れた。



そして、翌日。旬が自動車学校へ出勤すると、「太宰さ〜ん、ありがとうございますぅ〜」と珠美が朝からハートマークを飛ばしてやって来た。

「えっ……？何かしましたっけ？」

旬は首を傾げる。珠美とは関わりたくないため、珠美にお礼を言われることはしていないはずだ。